第3章
運は自分で掴むもの、起こすもの

  • 山口

    姓名判断や四柱推命のほかの占いは…手相や人相はいかがですか。

  • 鍋田

    いちおう手相は見るんですが、先々を見るという点ではあまり好きではないんです。たとえば手相の本を見ると、運命線が真っすぐ伸びていて、掌がぽちゃぽちゃしている方は晩年はいい、というように書いてある。人相学的には耳たぶがたっぷりしているほうがいいと言われていたり。

    でも自分自身のことを振り返ってみると、生き方や価値観が変わったときに、手相が後からついてきた、という気がしているんです。銀行員時代には運命線が途切れ途切れでなかったんですよ。耳たぶも耳なし法一と呼ばれていたくらいになかった。それが環境を変えて自営業になってから、耳たぶもふっくらしてきて、運命線も力強く繋がったんです。要は自分の生き方を変えたら、手相も後から変わってきた。

    たとえば体調が悪かったり、思い悩んでいたりしたら、どうしたんだろう、と誰から見てもわかるように、身体の一部である手相や人相にも、そのときの状況に関しては間違いなく出ると思うんですが、先々に関しては変わると思っているんです。

    手相そのものは実際、3ヵ月、4カ月で少しずつ変わっていくことは事実なんです。違いはそんなに目立たないので、1年という期間を経て、気持ち変わっているということはあると思いますね。だから現状を見るのであれば、そこそこ的中率はあるかもしれないけれど、先々のことに関しては読み切れないんじゃないかと思うんです。

    あと人相に関しては、ぼく自身が姓名判断を中心にやっているので、最初から顔を見ながら話をするとどうしても先入観が入ってしまうので、逆に見ないようにしているんです。だって話をしていて、「私はそうは思わない」と書かれてある顔を見てしまうと、無意識のうちに話を修正する可能性が高いと思うんです。先入観が入って。だからいつも、下を向いて名前を見つめて10分から15分喋って、修正がきかなくなった状況になってから顔を見るんですよ。

  • 山口

    では、名前から立ち上がってくる何かを捉えて、占っていらっしゃるんですね。

  • 鍋田

    立ち上がっているかどうかわかりませんが、勝手にそう思ってやらせていただいています。

  • 山口

    占いは統計学が基本にあると言われていますが、でも、それだけでは占いってできないんじゃないかと思うのですがいかがでしょうか。

  • 鍋田

    それは実感としてありますね。占いを初めて最初の1年くらいは、運勢学という学問としてやっていたんです。姓名判断ですから画数を数えるんですが、そうやって名前を集中して見ていると、ふと頭を過ぎるものがあって、この人はツメが甘いなとか、こういうところでは今まで心を痛めて生きてきていないな、とわかるんです。それをさりげなく口にすると、意外にツボを付いてしまうことが多々ある。

    たとえば「この仕事はこうしたほうがいい」という話をしたときに、相手の方が「なんでその仕事をしてるってわかるんですか」と驚くんです。「だってさっきあなたが言ったじゃない」と言うと、「言ってませんよ」という話になって。

    ふと頭をよぎったことは意外に的を射ていることが多いんです。けれどそれが独りよがりな解釈だったり、自分の体調や気分で左右されてもいけませんので、運勢学という昔からある学問を当てはめて、自分の中で修正していっている、というのが今のやり方ですね。これはぼく自身の勝手な解釈なんですけれど。

  • 山口

    やはり統計学というベースの上に、その人の能力や、人を理解する力とかが加わって成立する、ということなんですね。

  • 鍋田

    ぼく自身もまだまだだとは思いますけれどもね。でも彫刻家が石を見つめていると、こういうものを作って欲しいと訴えてくるように、ぼく自身、毎日集中して名前を見ているので、同じように現れるものがあるのかな、と勝手な解釈はしています。

  • 山口

    なんかね、鍋田さんに見てもらった人はみんなハッピーになって帰ってくるんですよ。

  • 鍋田

    これまでの仕事の経験上、運勢は自己の想念で変えられる、というのがぼくの考え方なんです。ある程度の定めというのはあるんですけれど、良い行いをすれば良い結果が出る、悪い行いをすれば悪い結果が出る、ということは、目先の短いサイクルではなく、30年や40年、あるいは次の世代という長いスパンの中で出てくると思えば、あり得る。だから定められた運命より、自分の生の中で変わっていく運命のほうが、80%くらい強く働く、とぼく自身は思っています。だから、運は自分で掴むものだ、自分で運を起こしていくものだ、という気持ちを持っているんです。

  • 山口

    ポジティヴでとても素敵な考え方ですね。

  • 鍋田

    いろんな人を見てきた中で、本物と言われるものほど単純なものじゃないか、と考えているんです。本物と言えるものほど無欲に近く、さまざまな制約から自由なんじゃないかと。

    たとえばある人が「悪い時期に、悪い方角に行って、してはいけないことをしたから失敗してしまった」と言う。確かにそれは一理あるんですけれど、でもどうしてもそういう状況の中でやらざるをえないことはある。そこであれはダメ、これはダメ、と制約がいっぱいの中で、自分のカを100%生かし切るのは不可能でしょう。そういうことを言っているから失敗しちゃうんだよ、とぼくは言うんですけれどもね。

    運勢学的にある程度、気をつけることができれば、あとは活かし方の問題で、すっきりしたものじゃないかと思うんです。みんな考えすぎてぐしゃぐしゃになったりするけれど、根本はもっとシンプルですっきりしたものじゃないかと。自分自身の生き方を持って、これからどういう自分になっていきたいのかというヴィジョンをしっかり持ってさえいれば、臨機応変に動けるし、そんなにズレることはないと思っています。

>
鍋田智久×山口小夜子