第4章
ヒーラー

  • 山口

    そういえば、順子さん、ちょっと不思議なものが見えたりするでしょう。それはいつから?

  • 浅野

    小学校の頃かな。その頃は、まだ何が見える、というわけじゃなかったんだけど。寝ていたりすると、左手が自分の身体くらいの大きさになって、時間もものすごい早さで過ぎていくように感じるの。これはなんなんだろう、と思って母に「手が大きくなって時間が早いんだけど」って聞いたら「なにバカなこと言ってるの。あんた子供のときに脳膜炎やったからじゃない」って言われて(笑)。そういうのがあって、そのうち夢を見るようになったの。電話がある頃だったから、中学・高校生くらいのときかな。夢の中で電話を取ると「○×さんのお宅ですか?△△ですけれど、いまから伺います」と聞こえてくる。で、目が覚めると電話が鳴って、夢の中と同じことを相手が言うの。え?っと思って。それから子供たちが中学・高校で、私が古着屋をしていた頃のことだけど。うちで預かって6年間育てていた女の子がいたのね。その子が家を出ていってからしばらくして、彼女の友だちが亡くなった夢を見て。時間もはっきり覚えている。朝の6時だったかな。それで目が覚めたら、女の子から電話がかかってきて、友だちが亡くなった、と。そうしたら今度は感じるようになっちゃって。亡くなったその子の写真を居間に飾ってあるんだけど、写真を背にして食事を作っていたら、写真からその子がビューーンっと飛び出して、肩にピタっと止まるのよ。呼吸を感じないから「やっぱり死んだ人なんだわ」と思って、「写真の中に戻って」と言うと写真の中にまたビューーンっと戻るの。それからいろいろ見えるようになったんだけど。

  • 山口

    どういう見え方をするの?

  • 浅野

    たとえば、会社同士が揉めているときは、会社がビルの形として出てくる。映像として見える。片やものすごく高いビルで、片方は低いビルで、ビル同士が戦っているの。それはどう見ても、地面に近い低いビルのほうが勝ち、みたいな。あと、たとえば心の中にモヤモヤしているものを抱えている人は、白くて薄くてきれいな、ふわっとしたヴェールがかかってるように見えたり。うちの母も感の鋭い人だったし。私が学校をさぼって映画を見て帰ると、「今日はいつから映画館に行ってたの」と言い当てられたり。

  • 山口

    不思議。